SiCツールズ社長の青木です。
これまで産業界で広く使用されてきた切削工具は、いずれも切削過程で被削材に加工歪みを与えることが避けられませんでした。切削過程で加えられた加工歪みは被削材を劣化させ、本来の能力を十分に発揮できない原因になるばかりか時には可動部の突然の破断によって重大な事故を引き起こす恐れがありました。
私ども SiCツールズは、こうした被削材の加工歪みを最小限に抑え被削材の持つ能力を最大限に引き出す「究極の切削工具」の素材として集積回路などの基板にも使われている半導体の炭化ケイ素・SiCに注目しました。
「半導体で金属を切削加工する」という試みは、当初無謀なようにも見え克服すべきさまざまな課題がありました。しかし2007年当社設立以来続けてきた研究開発の結果、漸く2017年になってダイヤモンド単結晶工具に匹敵する刃先の鋭さ(刃先丸み)を実現し、しかも被削材に与える加工歪を最小化するSiC単結晶工具の開発に成功しました。
さらに2018年になって、SiC単結晶工具の開発過程で生み出された刃先の超鋭利化技術が、超硬工具など従来の工具材料にも応用できることがわかってきました。
今後はSiC単結晶工具(SiCツール)の販売はもちろん、この画期的な製品に興味を持つ多くのユーザーと情報を共有し、共同研究、共同開発等を行い、この「究極の切削工具」の普及に努めます。
2018年7月
青木 渉